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鍼灸臨床医案【痛経1】

 「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので,彼岸を過ぎたらエアコンの冷房を入れるべきか,暖房を入れるべきかと迷うようになってきました。

 この1ヶ月,新刊予定の翻訳本の最終校正を行っていたため,ブログ更新ができませんでした。楽しみにして頂いていた方々には申し訳ございませんでした。
 やっと昨日,ゲラを出版社に送りましたので,また引き続き鍼灸医案をご紹介していく予定です。

 それではまず,婦人科疾患に関する医案をご紹介いたします。
 語句に関する注釈はカットしているものもありますが,また後日フォローさせていただくつもりです。

 それでは『古今医案按』から李東垣の「痛経」のカルテになります。「痛経」とは月経痛,生理痛のことです。

【痛経1】

東垣治一婦。年三十余。毎洗浴後。必用冷水淋身。又嘗大驚。遂患経来時。必先小腹大痛。口吐涎水。経行後。又吐水三日。其痛又倍。至六七日。経水止時方住。百薬不效。診其脉。寸滑大而弦。関尺皆弦大急。尺小于関。関小于寸。所謂前大後小也。遂用香附三両。半夏二両。茯苓,黄芩各一両五銭。枳実,延胡,丹皮,人参,当帰,白朮,桃仁各一両。黄連七銭。川楝,遠志,甘草各五銭。桂三銭。呉茱萸一銭五分。分十五帖。入姜汁両蜆殻。熱服之。後用熱湯洗浴。得微汗乃已。忌当風坐臥。手足見水。并忌吃生冷。服三十帖全愈。半年後。因驚憂。其病復挙。腰腹時痛。小便淋痛。心惕惕驚悸。意其表已解。病独在裏。先為灸少衝,労宮,昆侖,三陰交。止悸定痛。次用桃仁承気湯大下之。下後用醋香附三両。醋蓬朮,当帰身各一両五銭。醋三棱,延胡索,醋大黄,醋青皮,青木香,茴香,滑石,木通,桃仁各一両。烏薬,甘草,砂仁,檳榔,苦楝各五銭。木香,呉茱萸各二銭。分作二十帖。入新取牛膝湿者二銭。生姜五片。用荷叶湯煎服愈。(兪震纂『古今医案按』)

【注釈】

①東垣:李杲(1180-1251)。

②蜆殻:シジミの殻。

③復挙:再発する。

④惕惕:(てきてき)恐れる,憂える。

⑤桃仁承気湯:『傷寒論』を出典とする。桃仁・大黄・桂枝・炙甘草・芒消。

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