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「コロナ」と「重積」と『黄帝内経』

満開だった庭の梅花も,スズメにほとんど食べ散らかされてしまいました。

今年は梅酒を漬けることができるかちょっと心配です。

『素問』陰陽応象論篇に「能知七損八益,則二者可調,不知用此,則蚤衰之節也」なる記載があります。

今日は李中梓『内経知要』から思ったことを書いてみます。

 では早速,李中梓の注釈から。

二者とは,陰陽である。は少陽の数であり,は少陰の数である。七損とは,陽が消えることであり,八益とは,陰が長じることである。

陰陽は,生殺(せいさつ)の本始であり,生は陽に従うため,陽が消えることを(おそ)れる。殺は陰に従うため,陰が長じることを(おそ)れる。七損八益を知り,その消長(しょうちょう)の機序を観察し,それを扶助・抑制する術を用いれば,陽は常に盛んとなって陰が乗じることはなく,二者を調和させることができれば,身体は常に春夏の(れい)のように生長(せいちょう) ,永遠に健康で体力がある若い盛りのままでいることができる。

これは真に陰陽を把握したものである。この用を知らなければ,半分に及ぶことなく衰えてしまう。用とは,作用・働きである。・・・・・・(中略)。

(しゅ)()(よう)(しゅ)(),朱子)は,

老子は『治人事天莫若嗇,是謂早服。早服是謂之重積徳』という。

早服とは,大切にすれば遠いものではなく,またすぐここにあることをいう。

重積徳とは,まず積もるところがあり,また養うことによって(おし)むことであり,これに加えて積み重ね,さらに養って大切にすることである。

身体が損傷しないうちに,さらに加えて大切に養生することを,早服して重積するという(つまり早くから対処して,余裕をもっておくこと)。損傷してから養う場合には,その損傷を補うのに(わずか)に足りる程度であり,重積とまではいかない。これを知っていれば,七陽が損傷しようとし,八陰が益そうとしている事態にすばやく対処できる ので,陽気は損傷せず,陰の作用もひどくなることはない 。

当院に来院なされる皆様は,何らかの原因があって体調不良となられた方々です。

ある日突然発病するということはほとんど希なケースであり,大概は日常生活に問題があるといっても過言ではないでしょう。

また山陰の人間は我慢強く,ちょっとやそっとの体調不良では医者にかかろうとは思わず,いよいよ手が付けられなくなってからという方が多いように感じます(私も含めて)。

病気になってから今までの日常生活を悔やむより,元気なうちから健康を積み重ね養生することが大切であると理解しました。

コロナ対策も,「緊張感をもって注視する」,自助に頼っているだけではどうにもならない段階に来ているようです。



 

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