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鍼灸臨床医案【咽喉腫痛6】

【咽喉腫痛6】

本日で「咽喉腫痛」の医案は最後になります。

羅天益『衛生宝鑑』に記載されているカルテです。長文になりますが,頑張って読んでいきましょう。

【原文】

征南元帥不磷吉歹。辛酉八月初三戌時生。年七旬。丙辰春東征。南回至楚丘。諸路迎迓。多献酒醴。因而過飲。遂腹痛腸鳴。自利日夜約五十余行。咽嗌腫痛。耳前後赤腫。舌本強。涎唾稠粘。欲吐不能出。以手曳之方出。言語艰難。反側悶乱。夜不得臥。使来命予。診得脉浮数。按之沉細而弦。即謂中書粘公曰。仲景言下利清谷。身体疼痛。急当救裏。後清便自調。急当救表。救裏四逆湯。救表桂枝湯。総帥今胃気不守。下利清谷。腹中疼痛。雖宜急治之。比之咽嗌。犹可少待。公曰。何謂也。答曰。内経云。瘡発于咽嗌。名曰猛疽。此疾治遅則塞咽。塞咽則気不通。気不通則半日死。故宜急治。于是遂砭刺腫上。紫黒血出。頃時腫勢大消。遂用桔梗,甘草,連翹,黍粘,酒制黄芩。升麻。防風等分。●咀。毎服約五銭。水煮清。令熱漱。冷吐去之。咽之恐傷脾胃。自利転甚。再服涎清腫散。語言声出。後以神応丸辛熱之剤。以散中寒。解化宿食。而燥脾湿。丸者,取其不即施化。則不犯其上熱。至其病所而後化。乃治主以緩也。不数服。利止痛定。後胸中閉塞。作陣而痛。予思霊枢有云。上焦如霧。宣五穀味。熏膚充身澤毛。若霧露之漑。是為気也。今相公年高気弱。自利無度。致胃中生発之気,不能滋養于心肺。故閉塞而痛。経云。上気不足。推而揚之。脾不足者。以甘補之。再以異功散甘辛微温之剤。温養脾胃。加升麻,人参上升。以順正気。不数服而胸中快利而痛止。内経云。調気之方。必別陰陽。内者内治。外者外治。微者調之。其次平之。勝者奪之。随其攸利。万挙万全。又曰。病有遠近。治有緩急。無越其制度。又曰。急則治其標。緩則治其本。此之謂也。(羅天益『衛生宝鑑』)

【注釈】

①丙辰:元・延祐3年(1316年)。

②迎迓:迎える。

③曳:引っ張る。

④中書:官職名。

⑤不即施化:すぐには溶解吸収されない。施とは,散布の意味で,ここでは吸収の意味で使用される。

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