五器屋堂について

　当院に来院される皆様方から，「五器屋堂ってどういう意味？」との御質問をよくいただきます。まずは「堂」の由来についてです。

　北京の同仁堂，長沙の九芝堂など，歴史ある漢方薬店には「堂」という名称が付いています。これは張仲景に由来します。

　本サイトを御覧の方には説明不要だと思いますが，張仲景は『傷寒論』『金匱要略』の著者とされ，河南省南陽出身で，漢・献帝の時代に長沙の太守を務めた人物です。当時は瘟疫（急性感染性疾患）が流行しており、自分の家族を始め多くの人々が亡くなったことに心を痛めた彼は，太守の仕事の合間に自分の「事務室」で自ら「坐堂医生」と称して病人の診察にあたりました。その後，医療に携わるものは 彼の高尚な品徳を学ぶという意味から，名称をそのまま踏襲し、漢方薬店に「○○堂」と名付けるようになりました。つまり「張仲景のように名利にこだわらず、病を救う」という意味が込められているのです。

　当院でも，地域の皆様方のお力になれればという思いを込めて「堂」の名称を使用させていただいております。