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鍼灸臨床医案【腹痛3】

【腹痛3】             

本日は『鍼灸大成』からの「腹痛」医案です。長文になりますが,頑張って読んでいきましょう。

熊可山 , 隗月潭 はお役人の名前です。

「急なれば標を治す」が実践されています。

【原文】

甲戌夏,員外熊可山公,患痢兼吐血不止,身熱咳嗽,繞臍一塊痛至死,脈気將危絶。衆醫云:『不可治矣』。工部正郎隗月潭公素善,迎余視其脈雖危絶,而胸尚暖,臍中一塊高起如拳大,是日不宜針刺,不得已,急針気海,更灸至五十壯而蘇,其塊即散,痛即止。後治痢,痢愈,治嗽血,以次調理得痊。次年升職方,公問其故。余曰:『病有標本,治有緩急,若拘於日忌,而不針気海,則塊何由而散?塊既消散,則気得以疏通,而痛止脈復矣』。正所謂急則治標之意也。公體雖安,飲食後不可多怒気,以保和其本;否則正気乖而肝気盛,致脾土受克,可計日而復矣。(楊継洲『鍼灸大成』)

【注釈】

①甲戌:明・万歴2年(1854年)。

②員外:官吏名。員外下郎の略称。

③繞臍一塊:塊が臍をぐるっと一回りしている。

④死:ここでは意識不明となること。

⑤工部正郎:工部とは,当時の中央官制六部の一つ。正郎とは,郎中のことで,六部の下部の正首長。

⑥是日:この一日。

⑦職方:官員。

⑧復:回復する。

⑨乖:錯乱。

⑩復:ここでは再発すること。

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