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鍼灸臨床医案【痢疾4】

【痢疾4】

今回は『衛生宝鑑』記載の医案です。長文ですが,頑張って読んでみて下さい。
府会として太倉,すなわち中脘とあります。

【原文】

至元己亥。廉台王千戸年四十有五。領兵鎮涟水。此地卑湿。因労役過度。飲食失節。至秋深。瘧痢并作。月余不愈。飲食全減。形容羸瘦。乗馬轎以帰。時已仲冬。求予治之。具陳其由。診得脉弦細而微如蛛絲。身体沉重。手足寒逆。時復麻痹。皮膚痂疥。如癘風之状。無力以動。心腹痞満。嘔逆不止。此皆寒湿為病。久淹。真気衰弱。形気不足。病気亦不足。陰陽皆不足也。針経云。陰陽皆虚。針所不為。灸之所宜。内経曰。損者益之。労者温之。十剤云。補可去弱。先以理中湯加附子。温養脾胃。散寒湿。澀可去脱。養臓湯加附子。固腸胃。止瀉痢。仍灸諸穴以并除之。経云。府会太倉。即中脘也。先灸五七壮。以温脾胃之気。進美飲食。次灸気海百壮。生発元気。滋荣百脉。充実肌肉。復灸足三里。腎之合也。三七壮。引陽気下交陰分。亦助胃気。後灸陽輔二七壮。接続陽気。令足脛温暖。散清湿之邪。迨月余。病気去。漸平復。今累迁侍衛親軍都指揮使。精神不減壮年。(羅天益『衛生宝鑑』)

【注釈】

①至元己亥:「至元乙亥(元至元十二年)」の誤りと思われる(1275年)。

②卑湿:低地のため湿気が盛んな地域。

③癘風:麻風病,ハンセン病。

④久淹:湿邪に長期間侵襲された。

⑤針経:『霊樞経』。

⑥理中湯:人参・白朮・炙甘草・乾姜。

⑦養臓湯:原名を『純陽真人養臓湯』,また『真人養臓湯』とも呼ばれる。人参・当帰・白朮・肉豆蔲・肉桂・甘草・白芍・木香・柯子・罌粟殻。

⑧迨:およぶ,至る。

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