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鍼灸臨床医案【腰痛4】

本日は『鍼灸大成』記載の腰痛の医案です。

【腰痛4】            

壬戌歳,吏部許敬庵公,寓霊濟宮,患腰痛之甚。同郷董龍山公推余視之。診其脈,尺部沉数有力。然男子尺脈固宜沉実,但帯数有力,是湿熱所致,有餘之疾也。医作不足治之,則非矣。性畏針,遂以手指於腎兪穴行補瀉之法,痛稍減,空心再與除湿行気之剤,一服而安。公曰:『手法代針,已覚痛減,何乃再服滲利之薬乎?』余曰:針能劫病,公性畏針,故不得已,而用手指之法,豈能駆除其病根,不過暫減其痛而已。若欲全可,須針腎兪穴,今既不針,是用滲利之剤也。豈不聞前賢云:「腰乃腎之府,一身之大関節。」脈沉数者,多是湿熱壅滞,須宜滲利之,不可用補剤。今人不分虚実,一概誤用,多致綿纏,痛疼不休(出玉機中)。大抵喜補悪攻,人之恒情也。邪湿去而新血生,此非攻中有補存焉者乎?』(楊継洲『鍼灸大成』)

【注釈】

①壬戌:明・嘉靖41年。

②吏部:官署名。

③寓:居住所,ここでは他人の家に泊まること。

④推:ここでは推薦するという意味。

⑤性:性情,こころだて,気立て。

⑥以手指:手指を鍼の代わりとして。

⑦空心:空腹。

⑧手法代針:

⑨若欲全可:もし疾病が完治したら。全可:完全に治癒する。

⑩恒情:よくある事柄,普通のこと。

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