2021-06-26
「面疾」とは,顔面の疾患のことです。
まずは『鍼灸大成』の医案をご紹介いたします。
庚辰歳①過揚,大尹黄縝庵公,昔在京朝夕相與,情誼甚篤,進謁留疑,不忍分袂,言及三郎患面部疾,数載不愈,甚憂之。昨焚香卜霊棋課②曰:『兀兀塵埃久待時,幽窗寂寞有誰知,運逢宝劍人相顧,利遂名成總有期。』與識者解曰:『宝者珍貴之物,劍者鋒利之物,必逢珍貴之人,可愈。』今承相顧,知公善針,疾愈有期矣。余③針巨剥,合谷等穴,更灸三里,徐徐調之而愈。時工匠刊書,多辱④蟹米之助。(楊継洲『鍼灸大成』)
①庚辰歳:明・万歴8年(1580年)。
②霊棋課:将棋の駒12枚に,上・中・下の字を刻み,放り投げることにより計124の卦を建て占いをするもの。
③余:楊継洲。
④辱:かたじけない。ありがたく。