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鍼灸臨床医案の紹介【腹痛4】

鍼灸臨床医案

【腹痛4】

本日は『名医類案』からの医案です。前回に続き長文になります。

【腹痛4】

羅謙甫治真定一士人,年三十余,肌体本弱,左脇下有積気,不敢食冷物,覚寒則痛,或嘔吐清水,眩暈欲倒,門不敢開,悪人煩冗,静臥一二日,及服辛熱之剤,則病退,延至初秋,因労役及食冷物,其病大作,腹痛不止,冷汗自出,四肢厥冷,口鼻気亦冷,面色青黄不澤,全不得臥,扶几而坐,又兼咳嗽,咽膈不利,与薬則吐,不得入口,無如奈何。遂以熟艾半斤,白紙一張,舗于腹上,紙上攤艾令匀,又以葱数枝,批作両片,置艾上,数重,再以白紙覆之,以慢火熨斗熨之,冷則易之,(外治法妙。)覚腹中熱,腹皮暖不禁,以棉三襜多縫帯系之,待冷方解。初熨時,得暖則痛減,大暖則痛止,至夜得睡。翌日,再与対症薬服之,良愈。(『内経』云:寒気客于小腸募原之間,絡血之中,血泣而不得注于大経,血気稽留不得行,故宿昔而成積也。又寒気客于腸胃,厥逆上出,故病而嘔也。諸寒在内作痛,得炅則痛立止。)(江瓘『名医類案』)

【注釈】

①悪人煩冗:人に会うと心煩(胸中が煩悶して苦しくなる)して,意識が乱れるという意味。

②労役:労力をもって公役に服すること。

③不澤:光沢がない。

④重:重なる。

⑤棉三襜袒多縫帯:襜とは,古代の着物の膝前の部分。棉とは,真綿。ここでは,真綿で幾層にも縫製された包帯という意味。

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