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鍼灸臨床医案【滞鍼1】

昨日は雨が雪になりました。最近は天気予報もなかなか当たらなくなってきました。

本日ご紹介する医案は「滞鍼」です。「滞鍼」とは,鍼が体から抜けなくなってしまうことです。

日本では細い鍼を使用するので,筋肉の急激な緊張により抜けなくなることがあります。それに対して「返し鍼」などを行います。以前は銀鍼を使用していましたが,今日ではステンレス製の鍼が一般的ですので,鍼が折れる心配はほとんどありませんから,あまり心配はありません。

次回は鍼が折れてしまった「折鍼」の医案をご紹介する予定です。

【滞鍼1】

德宗時有朝士墜馬傷足,国医為針腿,針不出,有気如烟出,朝士困憊,将至不起,国医惶惧,有道士詣門云∶某合治得。視針処責国医曰∶公何容易,生死之穴,乃在分毫。人之血脉相通如江河,針灸在思其要津。公亦好手,但誤中孔穴。乃令舁床就前,于左腿気満処下針曰∶此針下,彼針跳出,当至檐板。言訖,遂針入寸余,旧穴之針,沸然跃出,果至檐板。気出之処,泯然而合,病者当時平愈。朝士与国医拜謝,以金帛贈貽,道士不受,啜茶一甌而去。(魏之琇『続名医類案』)

【注釈】

①德宗時:清・光諸年間(1875~1908)。徳宗:愛新覚羅・載湉。

②朝士:中央の官吏全般を指す(朝廷に仕えるもの)。

③国医:御医。

④針不出:抜鍼できない。

⑤詣門:自身が尊敬する人のところへ出向く。

⑥合:全。

⑦公亦好手:あなたの医術は非常に優れている。公:ここでは国医に対する尊称。

⑧舁床:ベッドを担ぐ。

⑨気満処:経気が満ちているところ。

⑩泯然:消失するという意味。

⑪啜:するる,飲む。

⑫甌:お盆類の陶器,小さい瓶。

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